中世都市・カルカッソンヌ(Carcassonne)
数あるフランスの観光地の中には、あまりよく知られていないものもあります。カルカッソンヌもそのひとつではないでしょうか。しかし歴史あるこのすばらしい中世都市は一見の価値ありです。 この要塞都市はオード県の川沿いに位置し、3kmにわたる二重の城壁に囲まれています。その中にはコンタル城(château-comtal)や聖ナザレ大聖堂(basilique Saint-Nazaire)といった歴史的建造物があります。 波乱に富んだ歴史 聖 ナザレ大聖堂は1096年に建てられ、城の建設は12世紀に入ってから行われました。 当時、町はトランカヴェル家の支配下にありました。 1208年、法王イノセント3世はこの地に広まっていたカタリ派を討伐するために十字軍を派遣しましたが、トランカヴェル子爵は法王に異端視されていた トゥルーズ伯爵の臣下だったのです。1209年、町は十字軍に占領されました。その後もフランス王国とトゥルーズ伯爵領の争いが続きましたが、1226 年、国王ルイ6世による2度目の十字軍派遣を経て、最終的にフランス王国に統合されました。 13世紀にはルイ9世がアラゴン王国の脅威に備えて2つ目の城壁を作らせました。 今日のカルカッソンヌ 19 世紀、戦略的な意義を失ったこの要塞都市は見捨てられる羽目になりました。人口は激減し、人々はこの中世都市を壊してしまおうと考えたのです。幸いなこと に、地元の名士ジャンピエール・クロ・メレヴェイユ、歴史的建造物の視察官でもあった作家のメリメらの尽力により、町は破壊を免れました。国は建築家ヴィ オレ・ル・デュックに町の再建を任命しました。この事業は彼の死後も続けられ1913年に完了しました。1961年、コンタル城内に博物館が作られました。1997年にはユネスコ世界遺産に登録され、観光地としての注目を集めています。 カルカッソンヌをおすすめする理由 僕 がカルカッソンヌを訪れたのはまだ幼いときでしたが、とても深く印象に残っています。ラングドック地方(Languedoc)にある類まれな史跡。再建を 経て13世紀の頃とは異なっている部分もあるでしょうが、それでもなお見事な姿を見せており、歩くのが楽しめる町だと思います。町に長めに滞在すれば、周 辺地域に足をのばすこともできます。ミディ運河沿いを散歩するもよし、ラングドック地方の絵に描いたような村々や点在する城跡を訪れるもよし。ここにはさらに別の魅力があります。それは料理とワインです!名物料理は数多くありますが、最も有名なのはカスレ(cassoulet:白いんげんとガ チョウ、羊、豚などを煮込んだ料理)です。それに加えてガチョウやアヒルのコンフィ(confit:肉をその脂で煮、その中で保存したもの)、豚すね肉の ハムといった数々のおいしい料理がありますが、これらはやはりコルビエール(Corbiere)など地元のワインとともに味わいたいものです。 Hervé Tisserand...